2007年04月02日

好きになった・・・・

さて、説明を聞いてある程度知識をもってから好きになったクラシック曲というのが
いくつかある。
基本的には通俗的な作品を好み・・・・美しいメロディ、わかりやすい構成、
色彩的なオーケストレーション・・・がその曲を気に入る条件・・・だが・・・
始めて聴いたときには何とも思わなかったのに・・・
説明を読んだり、背景についての知識を得て興味がわき
好きになった曲も・・・・中にはある。

チャイコフスキーの交響曲第4番は人気のある交響曲のひとつだが、
華々しく明快な第4楽章
壮大で・・・「これでもか」・・と、クライマックスを作って迫る第1楽章
憂鬱げで且つ美しいメロディの第2楽章・・・は、
1度聴いて好きになったが・・・・弦楽器のピチカートがお気楽感じ・・・の
第3楽章は・・・・どうも好きになれなかった。
そう・・・なんだか「とりとめがない」感じで・・・・個性がはっきりしないし・・・

が!

ある時ミニスコアの説明文を読んで・・・・急にこの曲が興味深いものと気づくようになった。
説明は・・・おおよそ・・・
「酒を飲んで・・・酩酊したときの・・とりとめのない心情を表したもの・・・
弦のピチカートは・・・晴れ晴れとはしないが悲しくもない感情・・・
続く木管楽器のフレーズは民謡調の踊りの曲の記憶・・・・
続く金管楽器のフレーズが軍楽隊の通り過ぎた・・・曲の断片・・・」
といったようなものだったように思う。
「いいね〜これ」酔っぱらいの私にはぴったりだね!
冬の昼下がり昼寝をしながらいろいろと・・・・無意味な思考をしたり
うとうとして・・・浅い夢を見たり・・・
「夢かうつつか?」みたいに・・・時間だけが過ぎていくって・・・こと
あるよね!・・・・・・少なくとも私はそういった時間がけっこうある。
「とりとめがない」・・・・が、この曲の「個性」だったわけだ!

中学校の時、初めて本格的に音楽に興味が出て、
小学校の時には全くと言っていいほど吹けなかった「リコーダー」なども
吹くのが楽しみになってきた。
暇なときなど、音楽の教科書に載っている曲を手当たり次第に
リコーダーや吹奏楽部で担当していたサックスで吹いてみた。
歌劇「カルメン」よりカスタネットの踊り・・・という曲がリコーダーの譜面として
載っていて・・・・これを吹いてみた。
「????」
一回吹いてみた感想は・・・・「味気ない曲」・・・である。
「カルメン」が有名なオペラで、その中の器楽曲や声楽曲が軒並み人気曲と
なっている「らしい」という事ぐらい知っていたから・・・・
なぜ「この程度のメロディ」が取り上げられるのか?・・・疑問に思った。
「リコーダーで中学生が吹くのに簡単で良いから・・・」程度にしか
この曲の意義を考えなっかった。

それから・・・何年がすぎたろうか?
「闘牛士の歌」「ハバネラ」「アラゴネーズ」「アルカラの竜騎兵」
「セギリディア」「花の歌」「手紙の2重唱」「ジプシーの踊り」
「衛兵の交代」・・・と、次々に名曲を覚えていったが・・・・
例の「カスタネットの踊り」は・・・記憶から消えそう・・・・いや!
不思議にその「味気ない」メロディがなぜか消えない。
ただ・・・・・ただ、上記の「名曲」たちの中に・・・
それを加える気にはならない・・・という不思議な存在となっていった。

それから・・・また・・・何年かが過ぎ・・・・
「カルメン」を生で鑑賞することになった。
別に外国の有名な劇団のを鑑賞したわけではない・・・・・
日本版を地元の市民文化会館で・・・・
それにしても・・・・器楽曲一辺倒で、声楽曲にはほとんど興味のなかった私が・・・
オペラにそれだけの予算と時間を割くのは全く珍しいことであったことに違いはない。
理由は・・・簡単で・・・そのときのデートの相手が声楽好き・・・とりわけ
「カルメン」のファンであった・・・と
そういうことなのだが・・・・

さて、1幕、2幕・・・と場面はすすみ
主人公のカルメンが相手役のホセを人気(ひとけ)のない酒場のフロアに迎え入れ・・・
「ラララララララ・・・・・」と何気なく歌い出したのは
例の「カスタネットの踊り」!
ひとしきり歌い踊ったところで遠くからラッパの2重奏が聞こえ始める・・・
これは・・・ホセに「帰営」を命ずるラッパであり・・・・
彼はカルメンに歌と踊りをやめさせようとするが・・・
(百戦錬磨?の)カルメンはラッパの音に合わせて歌い踊り
ホセの恋心を試そうかとでもするよう・・・・
やがてラッパは鳴り終わり・・・ホセに「恋愛か仕事か?」を選択する
タイムリミットを告げる。
なんと・・・こんな切ない場面
ある意味で一番機微の細やかな場面ではないか?!
カルメンの歌がある意味で味気なかったのは素朴な信号ラッパをバックに
歌うという・・・必然性があったわけだ!
ラッパの音は演奏では最初ピアニシモ・・・・やがて少しずつクレシェンド
カルメンの歌に合わせて抑揚を付けるように・・・・
実際の信号ラッパは単調に機械的に鳴らされているはずなのだが、
信号ラッパとカルメンの歌を同時に聞いて心を乱しているホセには
ラッパが心に迫るようにクレシェンドしたり、最後は消え入るように
虚しく響いたりしたに違いない・・・・
なんという細やかな描写!!!!!
それ以来・・・・「カルメン」の中でも最も好きな場面がここ!

よく考えてみると・・・
相反する心情が同時進行する場面、
音楽に遠近感を与えた場面、が「カルメン」には非常に多いことがわかる。
その技巧のすばらしいこと!

前述したチャイコフスキーの4番3楽章も
影響を受けたのかも知れない。
チャイコフスキーの代表作「ヴァイオリン協奏曲」の6つの主題が
すべて歌劇「カルメン」の曲に基づいている・・・と
つい最近あるHPで知ったしね・・・・

さっきのデートの相手に「好きなクラシック曲は?」と尋ねられたとき
「チャイコのヴァイオリン協奏曲」と答えたような気がするが・・・
まあ・・・偶然かな?


posted by 上野守 at 17:51| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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